【1】ろうさいの李徴は【2】はくがくさいえい、天宝の【3】まつねん、若くして名を虎榜に連ね、ついで【4】こうなんいに補せられたが、性、【5】けんかい、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔よしとしなかった。いくばくもなく官を退いた後は、故山、かくりゃくに帰臥し、人と交わりを絶って、ひたすら【6】しさくに耽けった。【7】かりとなって長く膝ひざを【8】ぞくあくな大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである。しかし、文名は容易に揚らず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に駆られて来た。この頃からその容貌も【9】しょうこくとなり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒に炯々として、曾て進士に登第した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。数年の後、【10】ひんきゅうに堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。



問1  次の語群から、【1】~【10】に埋める語句を選んで、記号で答えよ。
  (あ) 下吏  (い) 博学才穎  (う) 狷介  (え) 江南尉  (お) 詩作  (か) 隴西  (き) 貧窮  (く) 俗悪  (け) 峭刻  (こ) 末年
  1____  2____  3____  4____  5____  6____  7____  8____  9____  10____


こんな簡単に問題が作れることに驚きました。本文のどこの部分を問題にしようかと考える時間が楽しかったです。